HSインタビュー vol.2: 経営者 平田静子さん(後編)「強くてしなやかな軸を持とう」

(HSインタビュー vol.2: 経営者 平田静子さん(前編)を読む)

HSインタビュー第2回目のゲストは、平田 静子さん

Heading Southは、「Wardrobe designed to “move” you. 『動き出す』あなたのそばに、『感動』のいつもそばに」をブランドステートメントに、ありたい自分に向かってチャレンジする女性に寄り添い、応援する存在になりたいと願っています。Heading Southが理想とする女性像「ありたい自分に向かって、しなやかに生きるひと」にクローズアップする「HSインタビュー」の第2回のゲストは、ヒラタワークス株式会社代表取締役、株式会社サニーサイドアップキャリア代表取締役の平田静子さんです。

こちらでは、インタビュー後編をお届けします。

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HS: 平田さんは、結婚、出産、離婚をご経験され、シングルマザーでおふたりのお子さんを育てあげられたとお聞きしました。今ほど社会環境的にも女性の仕事と子育ての両立に対する理解と配慮がなかった時代に様々なご苦労があったかと思うのですが、ご著書の中では全くそれを苦労と感じさせられない書きっぷりに驚かされました。編集のお仕事は時間に不規則ですし、実際は大変だったのだろうと想像しますが、その大変さを読者に感じさせないのは、きっと、平田さんの普段の心の持ち方にあるのではないかと思うのです。


平田さん: 私は、出世欲もなかったし、42歳までは期待もされていない、ただの女性事務員だったんですね。だから、変なプレッシャーなく、自然に結婚して、出産してという感じ。タイミングがラッキーなことに、出産して、25歳までまだ1年あったので、もう1年働こうと思って、職場復帰したところ、女子25歳定年制が撤廃されました。結果として、フジテレビの女性社員で、結婚して出産しても辞めない初めての人になりました(笑)。

31歳で離婚し、シングルマザーになったとき、子供たちふたりが独立するまでは、私が働いて収入を得ないとダメだ、という覚悟を持ちました。ただ、育児は、自分だけでやろうとしなかったですね。人の力を借りられるものは、全て借りる。実家のそばに引っ越して、保育園も申し込みました。実家が難しいときは、ご近所さんやママ友にお願いするなど、互助の精神で助け合いましたね。よく、何もかも自分でやらなきゃ、と頑張っちゃう人がいますが、そういうのは無理!頼れるところは頼るに限ります!

娘の小学校の謝恩会で、同級生のお母さんたちに、「平田さんのご主人は?」と聞かれ、シングルマザーであることを言うと、皆さん大変驚かれたんですね。皆さん口々に、私も娘たちも明るくて、そんな雰囲気はみじんもないと言われました。

ただ、私は仕事に救われたと思っています。仕事のない人生は考えられなかったし、仕事を楽しくやっていたからこそ、子供達も楽しくいられたのではないかと思います。

写真用の名前を入れます「靴は、ヒールが高いものもくたびれるのであんまり履きたくない。でも、バレーシューズはぺたんこで足が綺麗に見えない。なので、Heading Southのヒールの高さはちょうど良いですね。」(ありがとうございます!!)


HS: ご著書の中で、「本当の意味での女性活用は、女性が本来持っている視点とか、気付きとか、物事をしなやかに対応できるセンスを力にすること。仕事をする男性と女性の間にそんなに深い溝はない」「女性ならではの働き方とは、男性のように働くことではない」と記述されていますが、私は、このお考えに深く賛同します。一方で、もしこれが自然にできていたら、日本における女性のマネジメント層はもっと厚くなっていたのではないかと考えたりもします。

政府が上場企業の女性役員登用率10%などを掲げることによって、実態を伴わず数字が一人歩きしてしまい、実情が本来あるべき姿から乖離してしまっているのではないかとも思います。平田さんは、何故、女性の活用が進まないのか、また、どうしたら進むと思われますか?個人的には、企業側、女性側双方に課題があるように感じているのですが・・・。

平田さん: そうですね。私も、企業側、女性側の双方に課題があると思います。
まず、女性側は、せっかくチャンスを与えているのに、「私、できません」とか、チャンスを取りに行かない人が多い。その理由は、人は成功することに恐怖を覚えるからなのではないかと。成功することは、その分、責任が降りかかること。また、妬み嫉み、悪口も言われる中で、だったら、平和なところにいさせてください、という女性が案外多い。でも、恐ろしがらずにチャレンジして頂戴!と思う。いいじゃない、失敗したって。

最近、若い女の子と面談していると、残業ありませんよね、土日休みですよね、とか、ワークライフバランスという言葉を多用して、どうしたら自分がラクに仕事をできるかを考えている人がすごく多い。ただ、真のワークライフバランスというのは、「仕事へのコミットも高くする」と同時に、「忙しくても自分のためにも時間を作る」という、責任と自由のバランスが取れることを指すのではないでしょうか。

でも、きれいごとでも何でもなく、自分の実体験から、「仕事、面白いのにぃ〜!」と思います。実際、私は、人生の面白さの半分は仕事から得たと感じています。だから、女性や学生向けの講演会では、「とにかく仕事に就いて、仕事し続けてね。子供ができても、できたら続けて。新しい発見や自分の成長につながるし、面白みが出てくるから、めげずに続けて!」と必ず伝えるようにしています。

仕事は、常に目の前に異なる課題が出され、それをひたすらクリアすることで、それが知識となり、人脈となり、成長につながっていく。その全てが私の成長の糧だったと思います。また、加えるとしたら、責任ある仕事に就くことがどれだけ学びになるか。自分が学び、研鑽を積まなければ、責任を果たせない。責任ある仕事こそが、その人の存在意義を強くし、「自分がここにいる」という自身の存在価値を実感できるようになるのだと思います。

他方、仕事の楽しさを分かっていない人が多いのは、企業側が十分な責任を与えておらず、仕事が面白いと思うところまで到達していないことも要因だと思います。

企業側の課題としては、まだ育っていない女性、教育の機会を十分に与えられていない女性を、数字合わせで無理くり上のポジションに抜擢してしまうこと。そして、仮にダメだったときに、「やっぱり女性はダメじゃん」というレッテルを貼ろうとする。だから、メリットよりもデメリットの方が大きいと感じて、女性が怖がってしまう。

私は、小さな組織の中で、未経験の素人で編集長となりました。部下はプロパーで出版の実務経験者ばかりの中、本がどうやってできるのかも知らなかった当時は、みんなが私に不安を持っているのがよく分かりました。何とかせねばと自分の強みを考え抜いて、出向元のフジテレビのヒットドラマを本にしたら、ものすごく売れた。その結果、自分を見る目とこの人を信頼してもいいんだという部下の気持ち、風向きがガラッと変わった。ビジネスにおいては、やっぱり勝たないとダメなんだと実感しました。

責任を与えられた中で、この成功体験と勝利の経験が自分を成長させてくれました。そして、勝つことで自信が湧くことも学びました。チームの皆にも同じ気持ちを与えないと、組織として伸びていかないと思い、この思いを全員に体験してもらうために、小さな成功体験でもいいから、一人ひとりを勝たせないといけないと思いました。こうして、組織をマネジメントすることを覚えていったのです。

雇用する側は、先ずは小さなところから責任を与え、教育の機会を与えてあげる丁寧さが必要なのではないでしょうか。

写真用の名前を入れますインタビューは終始笑いが絶えず、平田さんからたくさんパワーをいただきました!

HS: 座右の銘、もしくは大切にしている言葉があれば教えてください。

平田さん: 『得意淡然、失意泰然(とくいたんぜん、しついたいぜん)』ですね。成功しているときほど平常心を保ち、悪い時には、逆に悠然としていなさいという意味です。尊敬する大好きなフジテレビの先輩が教えてくれた言葉です。人はそうやって生きていけば、間違いないと。

HS: チャレンジしたいけど踏み出せない人、何をやりたいか分からず模索中の方に、メッセージをお願いします。

平田さん: まず、やりたいことがないと思う人は、自分と会話する時間を持つこと。今の仕事じゃなくて、自分がワクワクすることはどんなことだろうと自分と向き合ってみる。ちょこっとでも、これ!と思ったら、まず行動してみること。

ただ、つまらないと言ってても、案外そうでもなかったりするかもしれません。口癖のようにつまんないって言ってるだけかもしれない。これを続けて、将来、ワクワクするか、ワクワクしないか、考えてみて欲しい。もし、考えてみたけど、本当につまらないという思いに至ったら、それは潔く手放しなさい。人間にはスペースがあり、常に自分のスペースにぎっしり詰め込んでいるもの。スペースを空けてあげないと新しいものが入って来ないから、潔く、要らないもの、つまらないものを一旦手放すこと。そうしたら、「次、何かある?これかな?」と思ったら、まず行動してみること。

また、自分がやりたいと思うことを人にシェアすることもお勧めです。こういうことやりたいんだよね、と色々な人に話すことで、誰かが何かを投げてくれる。シェアすることは大切です。

HS: そうですね。私も常にワクワク何かにチャレンジし続けていたい思いがありますので、平田さんのお話をお伺いして、今日またパワーをいただきました!平田さんは、しっかりとした軸がありながら、女性らしいしなやかさを兼ね備えた、まさにHeading Southが理想とする女性像だと思います。今日は貴重なお時間をいただき本当にありがとうございました!

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【プロフィール】

平田 静子
明治大学短期大学を卒業後、1969年に株式会社フジテレビジョンに入社。84年に株式会社扶桑社に出向し、宣伝部を経て書籍編集部の編集長となり、『アメリカインディアンの教え』など数々のベストセラーを生み出す。2000年には累計400万部の大ヒット作となった『チーズはどこへ消えた?』を手掛けた。その後、執行役員、取締役、常務取締役などを歴任。20103月に退職後、自らの会社、ヒラタワークス株式会社を設立し、出版・映像・イベント・マーケティングなどのプロデュースに携わっている。20167月より株式会社サニーサイドアップキャリアの代表取締役を兼任。20204月に母校である明治大学の最高意思決定機関である評議員会を構成する評議員に就任。著書に『そういえば、いつも目の前のことだけやってきた』(マガジンハウス)がある。