HSインタビュー vol.10-2:坂井 美穂さん(料理研究家/モデル)「『食』が『人』をつくる(後編)」

第10回目のゲストは、 料理研究家/モデル 坂井 美穂さん

Heading Southは、「Wardrobe designed to “move” you. 『動き出す』あなたのそばに、『感動』のいつもそばに」をブランドステートメントに、ありたい自分に向かってチャレンジするひとに寄り添い、応援する存在でいたいと願います。

自分らしさを大切に、強く美しくしなやかにチャレンジする人々の気持ちを後押しし、そんな素敵なひとが増えることを願ってお届けする「HSインタビュー」の第10回のゲストは、坂井 美穂さんです。

後編では、料理研究家としての顔にクローズアップ

坂井さんは、お母様のご病気をきっかけに国際中医薬膳師の資格を取得し、独自に考案された『フレンチ薬膳』のコンセプトを、料理教室や商品開発、レストランとのコラボレーションなどを通じてプロデュースを行う料理研究家として活躍される傍ら、パリコレクションなどのランウェイモデルとしてもご活躍されていた現役のモデルさんでもあります。

後編となる今回は、料理研究家としての坂井さんにクローズアップします。

実際に『フレンチ薬膳』の料理教室にお伺いし、そのコンセプトにすっかり魅了されてしまったインタビュアー廣田が、薬膳のことや、食べることの大切さ、また自身の積年の悩みでもある太りやすい体質について、食生活や薬膳で改善できることを坂井さんに質問させていただきました

食物の持つパワーを戴いて、食べることで、強い心と体を養い、美しくありたい。

改めてそう強く願いました。

是非お楽しみいただけましたら、嬉しく思います。

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坂井さんには、淡いブルーのシャツとホワイトのパンツに001 Neroを合わせていただきました。


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廣田: 先日、インタビューに先立ち、坂井さんのお料理教室に行かせていただきました。インタビューの前にリサーチさせていただく意味合いもあったのですが、それ以上に、フレンチ薬膳を通じて坂井さんが伝えたいメッセージにとても共感して、是非勉強させていただきたいという気持ちが強かったんですね。

実は、Heading Southでも「私たちの存在意義」として、インスタグラムで定期的に次の発信をしているんですね。

「私たちの存在意義:Heading Southは、ありたい自分に向かってチャレンジする女性に寄り添い、応援する存在でいたいと願います。

外見の美しさも大切ですが、ありのままの自分を受け入れる強さや、前向きにチャレンジし、日々を楽しむしなやかな心、人や社会全体の幸せを願う利他心など、年齢を重ねて内面から溢れ出る美こそが、真の美しさだと考えます。

素敵な女性がより多く活躍し、組織や社会全体の活性化に繋がることを願います。」


本当の美しさは、内側から出るオーラ

廣田: 私自身が未熟で、あくまでもそんな女性を目指したいと思って私自身もやらせていただいているのですが(笑)、坂井さんが仰る「本当の美しさは、内側から出るオーラであり、それを作るのは、「心」と「からだ」であり、そして、その土台になるのは「食」である」という考えに、ものすごく共感したんですよね。

実際、料理教室で初めてお会いして、先ず、坂井さんご自身が、内面から溢れるオーラをお持ちで、まさに伝えたいことを体現されている方だなと感激したんですね。

そして、調理の前に、薬膳の簡単な基礎を学ぶ座学の時間を設けていただきましたが、すごく勉強になって楽しかった。座学ですっかり坂井さんのファンになるという(笑)。

坂井: わっ、ありがとうございます(笑)!

廣田: 毎月、テーマに沿った食材を使ったメニューを提案されるんですよね?

私がお伺いした回は、ニキビでしたが、アゴまわりにニキビが治っては出てを繰り返していたので、とてもタイムリーでした(笑)。

あと、薬膳ということで、漢方っぽい食材がたくさん出てくるのかなと勝手に想像していましたが、玉ねぎや椎茸、小豆や甘酒など、日常的な食材も多く、あ、これなら実践できるなと思えました。

調理タイムもとても楽しかったですね。初めてお会いする教室の参加者の方と調理を介してコミュニケーションを取らせていただくのもいいなぁと思いました。

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薬膳とは思えない美しく華やかな坂井さんのお料理


食べることと体型維持の関係性

廣田: 実は、是非坂井さんにお伺いしてみたいと思っていたことがあって。

確かに、食は、美容と健康とは切り離せないものだと理解はしています。一方で、視点を変えると、モデルとシェフは対極にあるようにも思えるのです。

特に、坂井さんのような元パリコレクションのランウェイモデルの場合、体には相当ストイックに向き合わなければならなかったのではないかと想像します。

要は、モデルさんである以上、体型維持のために食べずにいる人もそれなりにいるんじゃないかと思って・・・。

実は、私は大学時代に留学のストレスを発端に拒食症になったことがあるんです。太ることに異様な恐怖を感じて、まともに食べられるようになるまでに何年もの戦いがありました。

あれから20年くらい経過して当時より15キロ近く体重も増え、日常生活は全く普通ではあるのに、それでもなお、食べることや太ることへの恐怖が本当に完全に払拭されたかというと、自信を持って言い切れない面はあるんです。

もちろん、You are what you eat. (あなたは食べたものでできている)であり、理想は食べて内側から心と体の強さや美しさの基盤を作りたい。でも、現実は、食べると本当にすぐ太ってしまう。

ひがみっぽいですが、食べてスタイルの良い人は、どうせ太りにくい体質の人だろうと思ってました(笑)。

からだが満ちていれば、太りにくくなる

坂井さん: 廣田さんのその気持ち、すごく良く分かります。先ず、私は、本当に普通の体質で、食べ過ぎたらその分だけ脂肪がつきます。そして、私もモデルしかしてなかった頃は、太ってはいけないと思い、食べずに調整したり、無理にダイエットしたりして身体を壊したりもしました。

でも、食べ方とか太りにくい組み合わせを知り、そして何より、からだの栄養分がきちんと満ちている状態であれば、太りにくくなることを体感しました。

一番重要なのは、消化力

坂井さん: 中医学には、実はカロリーという概念がないんですね。

ここにお茶菓子として出されたどら焼きがありますが、例えば、これが300キロカロリーだとして、私と廣田さん、それぞれに300キロカロリーが体に宿るかというと、そうじゃない。受け止める胃の力によるんです。

全部消化して吸収してエネルギーとして回すことができれば、それは代謝が良い体。一方、消化力が弱い場合、未消化物が残るから、それが脂肪になったり、澱みを生んで病気の原因になったりする。

一番重要なのは消化力なんです。そして、代謝には体力、パワーが必要です。気持ちの「気」でもあり、そこが弱くなると大変。

例えば、肉や魚、野菜は摂るけど、炭水化物を摂らないと、火はあるけど焼べる薪がない状態になるから、きちんと燃えていかない。

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色鮮やかなガスパチョに心も華やぎます!


太りにくい食べ方は、胃を守ること

坂井さん: それから、太りにくい食べ方は、簡単に言うと胃を守ることです。

冷たい飲食はなるべく避ける。食べる時は必ず温かいものや体を温めるものも摂ること。油ものや、動物性脂肪を摂り過ぎない。朝食はバランス良くちゃんと食べる。お味噌汁も出来れば毎日いただく。昼食は一番エネルギーを消費出来るので3食の中では一番量を食べて大丈夫。一方で、夜はほどほどに。割とよく言われていることかと思います。

あと、食後に重だるさや眠気を感じる人は消化力が強くないので、小麦の摂りすぎに気をつけると、体力も上がるし、むくみにくくなります。

消化力の弱い人は、砂糖や炭水化物を摂り過ぎるとむくみやすくなるので気をつけて。でも、炭水化物も大切な栄養素なので、抜いてはダメです。

それから、太りにくい食べ合わせですが、消化を促進するような食材を組み合わせることです。普段のお食事に生の大根、キャベツ、クレソン、キウイ、グァバ、桃、金柑、オレンジ、クミン、タイム、ディル、などをちょい足ししてみると良いですよ。

自分自身を作り上げているのは、食しかない

坂井さん: このバランスをきちんと身につければ、多少食べたからって揺れないですよ。自分自身を作り上げているのは食しかない。私は、タンパク質、炭水化物も食べるし、お菓子も食べます。

もちろん量がいきなりポンときたらそれは増えるけど、体重として乗っかってくるかというと、それは違う。

毎日厳密に気をつけなくても大丈夫。例えば、私は子供たちの世話で疲れて自分はポテトチップスの日もあります(笑)。ただ、それに罪悪感を感じるのではなく、楽しめばいいんです。だけど、翌日はその分、きちんと栄養を摂るように気をつける。

私も、母を看取った後、看病疲れで大変なくらい体が弱ってました。かすかすの状態からこんなにも元気になりました。だから、必ず整えられます!

廣田: そっか、坂井さんでもそうだったのですね。ありがとうございます。勇気をいただきました!坂井さんの言葉には力がありますし、本当に内から溢れる強さや美しさを感じますね。

ご両親を若くして亡くされた悲しみや苦しみはもちろんですが、これまでもチャレンジを重ねられてきたからこそ辛い思いや挫折も経験されていらっしゃるのではないかと思います。落ち込んだり、辛い経験をされたときにどうやって乗り越えられてきましたか?

坂井さん: そうですね。根はポジティブな方だと思いますが、両親を亡くしたときには流石に笑えない時期もありました。そのときは、無理矢理感激したり、笑うようにしてましたね。ちょっと大袈裟に喜んだりとか(笑)。そしたら、それがだんだん普通になっていったんですよね。

人に恵まれ、助けられてきた

坂井さん: あとは、私はとても人に恵まれてきたと思います。自分が逆境に立たされたときには、必ず、助けてくれる道標になるような出来事に遭遇したり、アドバイスをいただいたり、人をご紹介いただいたりなど、やってもらってばかりじゃないかと思うくらい助けられました。

こういう人の優しさ、懐の深さ、愛情に包んでもらったからこそ乗り越えられたと思っていて、私もこれまで自分がやっていただいたことを、必要とする人たちに返していきたいと思っています。

廣田: 素晴らしいですね!共感します。人に恵まれてきたのは、間違いなく、坂井さんのお人柄によるところが大きいと思いますよ!

今月(2021年4月)が『フレンチ薬膳』を広めようと志し、会社を設立されて10周年になるそうですね。おめでとうございます!自分も事業を行う身として、先ず10年継続されていることが本当に素晴らしいと思いますが、今後の展望などございましたら、是非教えてください。

坂井さんのオーラ、きっと画面越しでも伝わると思います!


薬膳のハードルを下げたい

坂井さん: ありがとうございます!そうですね、先ず、薬膳のハードルを下げたいですね。

薬膳とは、私たちが自ら日常生活で実践できる養生法(病気予防術)です。中医学の目的は体内のバランスを整えて自然治癒力を高め、自らの力で不調を改善していくこと。

病状を生む根本的な原因となる「体質の偏り」をバランスの良い状態に整えるために、「足りないものを補う食材」と、「余分なものを取り除く食材」を摂りながら、自然治癒力を引き出し、病気になりにくい体を作ります。

廣田さんも教室で使用した食材で実感されたと思いますが、日常的に身近な食材にもそれぞれの効能があり、薬膳はもっと身近なものなのです。

廣田: 仰る通りですね。薬膳の基本的な考え方や、どういう時にどういう食材を摂ったらいいかというのは、日々の食生活の中で、知らないと勿体ないなと思いましたし、何より、自分に何が足りていないのか、自分と向き合い、自分の状態を知ることを意識づけられることが素晴らしいと思いました。

『フレンチ薬膳』が長く続く仕組みを作りたい

坂井さん: ありがとうございます。それから、お弟子さんというと烏滸がましいのですが、教室に通いコンセプトに共感してくださった方で、『フレンチ薬膳』を一緒に広めたいと仰ってくださる方が何名かいらっしゃるんですね。その方々のお仕事の幅が広がったり、私からもお仕事をお願いできるようにしていきたいなと思っています。

そして、長い目で見たときには、私が年齢を重ね引退しても『フレンチ薬膳』が残っていく仕組みを作っていきたいですね。

廣田: いやー、素晴らしいですね。坂井さんには、是非、『フレンチ薬膳』はもちろんのこと、薬膳の良さを広めて行っていただきたいたいですね!実際にお料理教室で教わった私自身、薬膳をとても身近に感じ、日々少しずつ実践していこうと思いましたので、微力ではありますが、応援させていただきます!

最後になりますが、Heading Southは、ありたい自分に向かってチャレンジするひとに寄り添い、応援することを存在意義にしております。坂井さんのようにチャレンジしたいけれど、踏み出せない人、何をやりたいか分からず模索中の方への、アドバイスやメッセージをお願いします。

自分を愛し、足るを知ること

坂井さん: うーん、自分もできていないことで人に言える立場にはないのですが、先ずは自分を愛してあげること。自分自身に対して愛情が満ちてないと、本当の意味でやる気が湧いてこないし、人に対しても愛情をもって接することができないですよね。

もうひとつは、「足るを知ること」かな。
「これもない、あれもできなかった」って思いがちだけれども、「これもある、あれもできた」って、見る視点を変えるだけで、全然世界が違ってくる。

廣田: あー、私も同じ課題を持っているので、本当によく分かります。自分を愛せていないと、自分に対して自信を持てないですよね。ふたつの言葉ともに、自己評価を上げましょうってことですね。

坂井さん: はい。私も難しいと思いながら、実践中です・・・。

学びや気づきが多く、そして終始笑いの絶えない大変楽しい時間でした!


「今」をどう生きるかは、自分次第

坂井さん: あとは、パリから戻ってきたときに、結局、何処にいても全ては自分次第だなと思ったんですよね。

結局は、自分が何を選択し、何を決断して進むか。過去のことは起こったことだから、何故?と考えても意味がない。

「今」をどうするか。そう気持ちを切り替えるとラクに進めるかなと思います。

廣田: 仰る通りですね。たとえ、過去の出来事が失敗だったり、好ましくない結果に至ったとしても、どんな経験にも、そこには必ず学びがありますし、それを糧に「今」をどう生きるか。そのマインドがとても大切だと思いますね。

今日は学び多き時間となり、そして、とっても楽しかったです!

お忙しい中貴重なお時間をいただき本当にありがとうございました。




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【プロフィール】

坂井 美穂(さかい みほ)
国際薬膳調理師/料理研究家

2006年拠点を日本からパリに移し、モデルとしてパリコレクションなどのショーを中心に活動。現在はフレンチ薬膳を提案しながら、からだの内から溢れる美しさや健康を追求したさまざまなサービスを展開。

料理教室やレストランとのコラボレーションイベント・数多くのレシピ提供・商品開発に携わる。テレビ出演などのメディア活動も精力的に展開中。東京健康科学専門学校非常勤講師、国際食学協会特別講師も勤める。

著書に『かんたんフレンチ薬膳』『血めぐり薬膳』『きれいに効く インナークレンジング食事術』がある。
フレンチ薬膳 ホームページ:https://www.french-yakuzen.com/